キセルの新譜「The Blue Hour」のレコ発ライブでした。
毎年恒例の謹賀新年ライブがなかったのはちっと寂しいけど、いやそんな気持ちは微塵も残らないほどの最高なライブでした。
「The Blue Hour」前作の「明るい幻」と地続きであることは確かに感じたんだけど、
今までのキセルのアルバムとはちょっと変わったぞ、という印象を持っていたんですね。
フルートやサックス、ゆうこさんのコーラスが入ったことによって、今までキセルを形容するように良く言われる「ファンタジック」な「浮遊感」というよりは、うまくいえませんが、都市いや街と町、もっと大きくいえば国と町、の間に漂う空気がそのまま音源に閉じ込められているような。
そして、ともすれば、フルートやサックスが、非常にうまく入っているけども少しアーバンな感じを醸すように感じることがあり、ああ、これはキセルの兄弟のアルバムでというよりは、さくらホールのライブからずーっと醸成されたグルーヴがそのまま盤になったんですね、と思っていました。
ところがどっこい。ライブのこのセットリストよ。
角張社長が最高だと連呼している意味が良く分かりました。
「The Blue Hour」の曲たちは、ライブによって更に魂が入る。
鍵盤の野村卓史さんが入ったことによって、私の好きなキセルのサイケな部分がうまい具合に出て、何度も言いますが最高です。
そしてセットリスト。なんだか不穏な空気がある「夜の名前」。「コロンビア」が聞けたのは嬉しかった。卓史さんのピアノソロは、少しチャイニーズスケーター入ってましたかね。あとはど肝を抜かれたのが、ノコギリとギター一本の「ベガ」です。引き算の極み。なのに刺さる。
アレンジも、 The Blue Hourのテイストに合わせて大きくアレンジされており、古い曲も何の違和感もなく。どこでこの音は鳴ってるの。キーは何なの。と思いつつ、キセル兄の足下が見えない位置にいたので目も耳も全部使って味わいました。
キセルの音楽のキモの一つは「リズム」だと思うのですが、そこを大胆にバラし、胸が熱くなる音楽に仕上げ、常に耳と心をいっぱいにしてくれるキセル。
The Blue Hourの曲がどのようにこなれて行くのか、今年もライブ会場で楽しみにしてます。長く、長く、長く。
MCは相変わらずゆるゆると。ポカポカ日和、松島での宗教団体のおばちゃんによるフォーメーション。(地元にいる人も会った事ないと思います兄さん)
MCの途中でかなり兄弟がお違いの現住所をさらっと言ってましたけど気さくすぎです。いいかあ。キセルだもの。
キセル / 富士と夕闇【OFFICIAL MUSIC VIDEO】